熱効率50%って…
どうして急に上がったの?
秘密は圧縮比だよ
次期エクストレイルe-POWER用エンジンが
熱効率50%とアナウンスされています
(普通のエンジンは35%程度)
プリウスやディーゼルエンジンでも
40~45%なので驚異的!
なぜ急に上がったのでしょうか?
その秘密をご紹介します
このブログは国沢ブログ
「次期型エクストレイルに搭載される次世代eパワー登場!」
について書かれています
秘密は可変圧縮比+ターボ
いきなり結論ですが
「可変圧縮比ターボエンジン」が実用化
されたことですね
アトキンソンサイクルの話で充填効率を下げて熱効率を上げる話をしましたが
これはその効率を最大化するシステムです
圧縮比とは
圧縮比とは圧縮行程において吸った空気を圧縮する比率です
圧縮比はa:bになります
ピストンが一番下に行った時と
一番上に行った時の容積差になります
aが100ccでbが10ccだと
100:10で10:1になります
「:1」は省略することが多いです
圧縮比はエンジンの性格を決める重要なものです
圧縮比を上げると
空気を圧縮する時は力をロスしますが
燃焼する時にそれ以上の力がでます
なので圧縮比を上げるほど効率が良くなり
同じ量の燃料から大きな力が取り出せます
ですが圧縮比を上げ過ぎると温度が上がり
自己着火してしまいます
これが「ノッキング」と呼ばれ
パワーダウンし、最悪は壊れます
10~11程度が理想とされています
(ガソリンエンジン)
アトキンソンサイクルをすると圧縮比が下がる
アトキンソンサイクルは圧縮行程を短くして効率を上げる機構ですが
圧縮行程が短いと実質の圧縮比を下げてしまします
その時に効率が下がらない様に
元々の圧縮比を高めに設定し
実質が10前後になるようにしています
トヨタプリウスの圧縮比は13ですね
単純に考えると、ストロークの3割を
ATサイクル化すると実質の圧縮比は10
になり最高効率が出ることになります
しかしVVTでバルブを遅く閉じ
ATサイクルを5割にすると
実質圧縮比が7に下がり効率が落ちます
出力を求めATサイクルを止めると
圧縮比が13になり異常燃焼対策
が必要で効率が落ちます
※数値はイメージです
このように圧縮比を基準として
燃焼効率の幅が決まります
アトキンソンサイクルと
VVT(可変バルブタイミング)は
過去のブログを参考にしてください
ターボは逆に
逆にターボは例えば1000ccのエンジンに1500ccの空気を詰め込み
実質排気量を上げて馬力を稼ぐ機構です
なので、最初から圧縮比が10だと実質15になってします
なのでターボ圧から計算して、
圧縮比を低く設定するのがセオリーです
私が乗っていたMA70スープラは圧縮比8.4でした
ここまでのまとめ
今までの話を簡単にまとめると
- 燃費を求めるには
圧縮比を高くする必要がある - 馬力を求めるには
圧縮比を低くしないと壊れる
しかしその対策で燃費が悪化する
完全に相反する要素になっています
じゃあ、状況に応じて変えればよくない?
それに答えたのが
VCターボエンジン
です
VCターボエンジン(可変圧縮比機構)
VCターボエンジンとは
Variable Compression ratio Turbo Engine
の略で圧縮比を稼働中に変化させるエンジンです
圧縮比を変えることにより
ATサイクル率を上げたときは
高圧縮にして燃費向上
馬力が必要な時は圧縮比を下げて
異常燃焼対策の燃料噴射量を抑えます
結果、今までより燃費走行とパワー走行を
両立を高次元で両立させることができます
機構は動画で確認ください
公称でパワーが15%アップ
燃費が30%アップと驚異的!
実用を開始した時点でこの効果ですから
研究が進めば熱効率60%も狙えるかも
実物が出来ました!
※2022/7/22追加
新型エクストレイルのスペック、1500ccのエンジンから144馬力・25kgmのトルク
e-POWER用のエンジンなので馬力を抑えていますが2500cc並み!
1750kgのボディーで約20km/ℓは衝撃的です(旧型エクストレイルHVは15km/ℓ)
まとめ
- 熱効率50%ともいわれる最新エンジンが登場する
- 秘訣は圧縮比を状況に応じて変化させる機構(VC)である
- 圧縮比はエンジンの性格を決める重要なものである
- ATサイクルを最大に利用できターボ稼働時も最適化できる画期的ものである
このようにエンジンも日々進化しています
もう少しすると熱効率が上がりすぎて廃熱が出ず
EVの様に冬に暖房を我慢することになるカモです
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