アトキンソンサイクルを世界一分かり易く解説!理論と高効率の仕組み

メカニズムのすすめ
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はてな子
はてな子

車のカタログで見かける
「アトキンソンサイクル」
って何かしら

こたえさん
こたえさん

車の燃費を向上させた
大発明だよ

ホンダ技研工業HP インサイトより引用

上の図のように「アトキンソンサイクル」を見かけることが有りますよね

車屋に聞いても「ポンピングロス」を無くすやつくらいにしか教えてくれません

今回はアトキンソンサイクルを(自称)世界一分かりやすく説明します

 以下場合により
「アトキンソンサイクル」を
「ATサイクル」と略します
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アトキンソンサイクルにするとどうなる?

ATサイクルにすると燃費が上がり馬力が下がります

普通のエンジンは
1000ccのエンジンは
1000ccの馬力が出ます

ATサイクルにすると
1000ccのエンジンで
700ccの燃費・800ccの馬力
になるイメージです

ATサイクル理論と
ATサイクルエンジンと
ミラーサイクルエンジン

この3つが混ざるとややこしいので先に解説していきます

ATサイクル理論とは

ジェームズ・アトキンソンさんが考えたエンジンの効率を上げ燃費を向上する理論

3つの側面から燃費が向上する

理論と作動原理は後で詳しく解説します
管理人takechi
管理人takechi

こういうものは敬意をこめて
人の名前がつけられています

ATサイクルエンジン

アトキンソンさんが作ったエンジン

結局、自動車では実用化されずホンダが家庭用発電機で使用したのみ
※現在は発売していません

合わせて読みたい
ホンダが作った「本当のアトキンソンサイクル」エンジンEXlink

ミラーサイクルエンジン

R. H. ミラーさんが
ATサイクル理論」を元に「普通のエンジン」に「ATサイクル」を 組み込んだもの

ATサイクルエンジンの様に殊な機構を必要とせず、簡潔にしたもの

現在「ATサイクル」と言っているエンジンは、すべてミラーサイクルエンジン

何でミラーサイクルと呼ばないの?管理人の想像

ここは、私の想像ですが

世界初の量産ミラーサイクルエンジンは1993年にマツダが発売しました

当時の制御技術では、あまり燃費は向上せず不発と言うべき状態

なので印象も悪かったこともあり、トヨタは「アトキンソンサイクル」と呼んだと考察

それが一般の認知になったと思われます

ちなみに

トヨタ・ホンダ「アトキンソンサイクル」
日産・マツダ「ミラーサイクル」と呼んでいますが、全て「ミラーサイクルエンジン」です

次はアトキンソンサイクル理論と作動原理の解説です

ATサイクルのメリット

ATサイクルのメリット

アトキンソンサイクルのメリット
①燃焼効率の向上
②ポンピングロスの低減
③希薄燃焼の抑制

焼燃効率の向上

同じ燃料多くの力を取り出せます、結果燃費が向上します

ポンピングロスの低減

吸気抵抗が減り燃費が向上します

希薄燃焼の抑制

吸い込む空気自体がへるので過度な希薄燃焼を抑制でき、燃焼が安定します

以下詳細です

ATサイクル理論の考え方

ATサイクルについて解説していきます

4サイクルエンジン

まずは4サイクルエンジンの原理コレを知っておいてください

※「4サイクル」と「4ストローク」は、ほぼ同じ意味とです

クリッカーの記事を参考に
4ストロークエンジンの仕組みとは?吸気-圧縮-燃焼-排気を繰り返す

HONDACARS野崎

吸気行程で吸い込んだ混合気を圧縮行程で圧縮

それに点火プラグで火をつけると燃焼し熱膨張してピストンを押し下げ

その力で車を前進させます

ATサイクルの理論

もし点火しないとどうなるでしょう?

圧縮された混合気がそのままに元に戻ろうとしてピストンを押し下げます

その力は、圧縮が始まる点(下死点)、つまり一番下まで行くとゼロになります

と言うことは、燃焼させなくても一番下まで行くエネルギーがあります

それを燃焼させているのですからピストンを一番下まで押し下げても

まだ押し下げる力が残っていることになります

しかし、ピストンはそれより下までは進めませんので力を得ることができません

まだ膨張しようとする力は排気弁より無駄にエンジン外へと放出されます

そこで、ピストンをもっと下まで押せるようにすれば

捨てていたエネルギーを使うことができ、同じ量の燃料からより多くの力を作れます

これがATサイクル理論です

ATサイクルエンジン

しかし現実にはストロークを伸ばすことはできません

ですので吸気のストロークを短くし
(途中で止める)

燃焼時を通常の長さにすることで相対的にストロークを伸ばします

ウィキペディア内の動画を見てください
Wikipedia-アトキンソンサイクル

効率は上がるが

先ほどの絵にもあるように空気が入るときのストロークを短くします

なので実質排気量は減ります。燃費は向上しますが絶対的なパワーは下がります

1000ccのエンジンで700ccの燃費・800ccの馬力

というのはこういう理由です

ATサイクルエンジンが普及しなかった理由

Wikipedia等を見てもらうと分かりますが

ATサイクルエンジンは複雑なリンクによって成立しています

可動が多いと回転が速くなるにつれ抵抗も増え、効率が下がります

また耐久性も下がります

コストと耐久性を考え自動車に採用されませんでした

そこでミラーさんが

現状のエンジンのまま
ATサイクルにする
方法

を思いつき、現在の低燃費エンジンとなっています

ミラーサイクルエンジン

知ってしまえばとても簡単です吸気時の圧縮を短くするだけ

まずは普通に吸気します

全量入ります

普通ならここで吸気弁を閉じて圧縮行程を始めるのですがこのまま弁を開いておきます

そうすると空気が逆流してシリンダ内の空気が少なくなります

このタイミングでバルブを閉じ圧縮行程を開始します

そして燃焼行程

圧縮行程開始点を越えて下まで進み、圧縮より燃焼行程の方が長くなります

これにより少ない混合気で長い間ピストンを押すので高い燃焼効率を得ることができます

ポンピングロス

ポンピングロスは吸気行程でピストンが下がるときの抵抗です

出力を絞る為に空気の通り道にある弁を閉じるのですがそれが抵抗になります

ATサイクルはスロットを絞らずに出力を下げるのでロスが少ないです

希薄燃焼を抑える

ガソリンと空気の比でガソリンが少ない(薄い)と異常燃焼もしくは失火します

ATサイクルは空気の入る量を減らすので無理に薄くしなくても少ないガソリンで走れます

通常、空気1000ccに対しガソリン1ccだとすると

1÷1000=0.1%の濃度

ATサイクルは吸う空気を減らすので空気700ccに対しガソリン1ccになり

1÷700≒0.14%の濃度

になります

まとめ

  • アトキンソンサイクルは捨てていたエネルギーを使って燃費を上げる仕組みです
  • ATサイクルは圧縮行程より燃焼行程を長くすることで燃焼効率を上げている
  • 本当のアトキンソンサイクルエンジンは乗用車では使われていない
  • 車は全てミラーサイクルエンジンである

このようにアトキンソンサイクルで燃費を向上させています

カタログを見るときは思い出して下さいね

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